●ムガール絵画 ムガールかいが
アジア インド AD
17世紀を全盛とするインドの非宗教的宮廷画,ミニアテュール。ムガール絵画の基礎は帝国の創始者バーブル(在位1526〜30)によって与えられた。彼がペルシアのミニアテュールを集め模写させたことはペルシア絵画のインドに及ぼす影響の端緒となった。ついでアクバル大帝(在位1556〜1605)治世下に成立した宮廷画派は,はじめはペルシア様式が優勢であったが,しだいにインド的様式と融合し,ペルシア的遠近法・構図をもつインド的絵画を生み出した。ここにムガール絵画の成立を見た。ペルシア的要素が中国的要素と,イスラーム的要素がインド的要素とたがいに交錯しあって,基本的にはインド様式の絵画が発生したのである。次のジャハーンギール王(在位1605〜27)の時代にインド=ミニアテュールは黄金時代を迎え,アブル=ハサン・マンスールなどが活躍,手法はヨーロッパの影響を再度被りますます写実化していった。画題にはペルシア様式の伝統である帝国貴族の肖像・狩猟・花鳥が多く選ばれたが,とくにムハンマドの像が躊躇なく描かれていることなどはムガール絵画ならではといえる。