●ミロのヴィーナス
AD
ルーブル美術館ばかりか世界の至宝と仰がれる『ヴェニュス=ド=ミロ』,正確には『メロス島(現代ギリシア語ではミロスまたはミロ)のアフロディテ』は,前4世紀の古典的作品を範とする前2世紀末(ヘレニスティック時代)の復古的彫刻の名作である。永くミロ島の土中に埋もれていたのを,1820年,島の一農民によって古代の体育場の跡から発掘され,さまざまの経緯(いきさつ)の後トルコ駐在のフランス大使リヴィエール侯に購入され,翌年国王ルイ18世に献呈された。美しい乳白色の巨大な二個の大理石を腰の辺りで接続した上半身裸体,下半身に衣をまとう見事な彫刻で高さ約2m。この像に属すると信ぜられるリンゴをもった左手と右前膊とが共に発見されているが,未だに決定的な復原案は出ていない。ともかく『ミロのヴィーナス』は現存する等身以上のギリシアのアフロディテ像のうち,頭部まで備わった唯一の原作像であることは貴重である。