●ミュール紡績機 ミュールぼうせきき Mule
ヨーロッパ 英国 AD
サミュエル=クロンプトンによつて発明された紡績機。ハーグリーヴズのジェニー紡績機とアークライトの水力紡績機は綿紡績に革命をもたらしたが,どちらにも欠点があった。ジェニー機で紡いだ糸は細いけれども弱すぎて縦糸に適さなかった。水力紡績機の場合は,強いけれども粗すぎて最高品質の布地をつくることができなかった。1779年ランカシャーのボールトン付近に住む織り手兼紡ぎ手であるクロンプトンは,両機の欠点を改良して細くて丈夫な糸を紡げる走錘紡績機を発明し,これがミュールと呼ばれた。ミュールとは雌の馬と雄のろばの間に生まれた「らば」の意味である。これによってイギリスの綿織物はインド産のキャラコやモスリンと質的に肩を並べるに至った。ミュール機は後にケリーその他によって改良され,1825年リチャード=ロバーツが自動式ミュールとして完成し,1台500錘を紡げるまでになった。