●ミナンカバウ
アジア インドネシア共和国 AD
インドネシア西スマトラ州を故地とし,現存する世界最大の母系制社会を形成する種族。マレー語系のミナンカバウ語を話す。米・トウガラシ・ココヤシなどの栽培のほかに,家内工業・商業を主な生業とする。九州よりやや大きい西スマトラ州に約300万人,インドネシア領の他地域に130万人在住すると推定される(1980)。かつては王を戴いていたが19世紀のパドリ戦争によって王権は崩壊した。いずれにしても王の支配は限られたもので,古くからナガリ(ムラ)が強い自律性を有していた。オランダの西スマトラ到来は16世紀であるが,本格的植民地支配は19世紀半ば以降である。19世紀以後大きな社会変容を遂げながらも,ミナンカバウは母系出自・家督の母系相続・結婚後の妻方居住などの母系制要素をいまだに維持している。敬虔なイスラーム教徒であり,ムランタウ(出稼ぎ)慣行によっても知られる。インドネシア民族主義運動においても重要な役割を果たした。