●ミクロネシア諸族 ミクロネシアしょぞく
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オセアニアのうち北西部,おおむね赤道の北にある諸島の住民。マリアナ,カロリン,マーシャル,ギルバートの各諸島をその地理的分布区域とする。ミクロネシアは地理的に,西側はフィリピン・インドネシア,南側はメラネシア,東南側はポリネシアと接しており,人々や文化の源はこの3方の流入路を通って入ってきたと考えられる。一般的にいって,ミクロネシア諸族の文化は,複雑多岐なメラネシア文化と,ほぼ一様なポリネシア文化との中間に位置するということができる。これは主としてミクロネシアにおける人間の居住の歴史が,メラネシアほど古くはないが,ポリネシアより古いということに起因していると考えられている。【今日の政治状況】1969年,英領であったギルバート諸島はキリバス共和国として独立(人口約5万6,000),ナウルも小国家として独立(人口約7,000)した。この両国とアメリカ領のグァム島を除く残りのミクロネシアの全域は過去100年余の間,支配国はスペイン,ドイツ(1899〜1914),日本(1914〜45,国際連盟委任統治領として),アメリカ(1945〜,国際連合信託統治領)と相ついで交替したものの,一貫して外国の支配下にあり,受動的に生きることが強いられてきた。だが,1976年にマリアナ諸島は北マリアナ連邦(人口約1万6,000)として,他は1981年にマーシャル諸島共和国(人口約2万9,000),ベラウ(パラオ)共和国(人口約1万4,000),およびヤップ,トラック,ポナペ,コスラエ(クサイエ)の4州からなるミクロネシア連邦(人口約6万3,000)として独立をめざし,信託統治終了後の政治形態についてアメリカと協議中。外交と軍事をアメリカにまかせる自由連合という形態をめざしている。
【形質および言語】ミクロネシアの現住民は,スペイン人と混血して早くからキリスト教化したマリアナ諸島の島民チャモロ人と,その他のミクロネシアに住む原住民であるカナカ人とに分けられる。原住民の人種特徴はモンゴロイドを主流とするが,その身長はポリネシア人より低く,頭髪は黒褐色で直状毛,巻毛や縮れ毛もみられる。皮膚の色は西から東にいたるにつれて暗褐色から淡褐色に移る。東カロリンの人々は長頭で狭顔,中身長であるが,西カロリンの人々は中頭(まれに短頭もいる)で広顔,縮れ毛,そして東カロリンより多少身長が高い。
言語学的にはオーストロネシア語族(南島語族)に属するが,マリアナのチャモロ語,パラオ諸島のパラオ語は系統上,スラウェシ語に近く,インドネシア語派に属する。マーシャル,ポナペ,トラック,オレアイの諸語およびやや離れてギルバート語は中核ミクロネシア語派に属せしめられ,これは系統上,ニューヘブリデス・ロツマ・フィジー語部に近い。
これまでの言語学・先史学の成果によれば,ミクロネシアの文化は,東インドネシア・フィリピン方面から西縁ミクロネシアのパラオ・ヤップ,マリアナ諸島域に移入してきたものと,メラネシアのニューヘブリデス諸島付近から北上してきた文化が,ギルバートおよびマーシャル諸島をへて,東・中央カロリン諸島にいたったものに区別され,この二つの文化の流れが,何回もの小さな波となって波及し,ミクロネシアの伝統文化の形成に影響を与えた。
【ミクロネシア文化】島民はパンノキ,タロイモ,ヤムイモ,ココヤシの耕作と,礁湖や沖合いでの漁労で毎日の生計を立てている。ミクロネシアは母系制領域で,典型的な母系・妻方居住婚社会はトラック島あたりにみられるが,ヤップ島では二重単系制,ギルバート諸島は非単系社会である。土地と海の統制と初物献納を軸とする多様な形態の首長制政治組織が発達している,宗教的権威を背景に広大な海域におよび,貢納・交易網を支配したヤップ島,ポトラッチ的威信経済を発達させたポナペ,コスラエの首長国,親族的序列の域に止まっているトラック島との差異は大きい。