●右と左 みぎとひだり
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アラビア語で“右”を意味する単語はヤミーンという。この単語の元になった三つの子音 y-m-n は,基本的な概念としてもともと幸運・吉兆・成功など“善的”な意味をそのなかに包みこんでいる。したがって,アラブの人々は“右”を“善”と考え,左を“悪”と考える思考と行動の様式を伝統的にとってきたが,こうした二分法的な善と悪,吉と凶,幸運と不動,清浄と不浄というような対比を右と左にシンボライズする考え方と慣習は,アラブ以外のイスラーム教徒にも影響を与えてきた。たとえば,預言者ムハンマドは,履物をまず右足からはき,着物は右袖から通し,髪も頭の右半分を先にし,家やモスクに入るとき,ときには右足を先につけたという。また,礼拝の前の沐浴でも右腕を先に洗い,右足の踝を左より先に洗うという順序がふつうである。これに対して左は,つねに不浄なものと考えられており,浴室や便所には左足から入り,着物や履物をぬぐときは左を先にする。また,食事は右手でし,用便は左手ですますことになっている。