●マーワルディー
アジア イラン・イスラム共和国 AD974
974〜1058 イランに生まれ,アラビア語で著作を残したイスラームの政治・法学者。シャーフィイー派の法学派に属し,イラン,イラクにおいて法官(カーディー)を歴任した。その後,アッバース朝の首都バグダードに居を移し,カリフ,カーディル(在位991〜1031)に仕えた。その主著『政治の諸原則』は,イランのマーザンダランの山岳地からやってきて,イラクを支配していたシーア派の軍事政権ブワイフ朝(932〜1055)が事実上,アッバース朝カリフを傀儡化していた時期に書かれたもので,その執筆の動機は,カリフの支配の正当性と復権を主張するところにあった。イスラーム共同体のなかにあって,カリフの地位は神意に適い,信徒たちの合意(イジュマー)にもとづいていることが強調され,その正当性を論理的に説明した。また,カリフの資格と職務について整合的で緻密な理論が展開されており,のちのカリフ論に礎石を提供した意義は大きい。