●マルクス主義 マルクスしゅぎ
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マルクスとエンゲルスによつて基礎づけられ,彼らの思想・学説にもとづいて展開された思想・学説の総称。【マルクス主義の三つの源泉】マルクス・エンゲルスの思想・学説の源泉は,[1]ドイツ古典哲学,[2]イギリスの古典経済学,[3]フランス社会主義といわれる。これらの先行の思想的学問的遺産の上に,[1]から弁証法的唯物論への,[2]から資本主義経済の運動法則の解明への,[3]から労働者階級を解放する社会主義,共産主義への道が,切り開かれてくる。
【マルクス主義の三つの構成部分】マルクス主義の三つの源泉は,その3つの構成部分に対応する。すなわち哲学,経済学,階級闘争・革命の学説である。その哲学の特徴は,唯物論的であると同時に弁証法的であり,観念論的弁証法とも機械論的唯物論とも対抗する。この見地は,自然とともに歴史と社会にも貫かれ,史的唯物論(唯物史観)が確立される。これは,歴史を生産力と生産関係の結合としての生産様式の変化・発展の観点からとらえ,原始共同体,奴隷制,封建制,資本主義,そして共産主義(社会主義も含む)の5つの継続的発展段階に分ける。経済学は,労働価値説に立脚しつつ,資本家による労働者の搾取のからくりを,剰余価値学説によって明らかにする。そして,この見地から資本主義の発展法則を分析し,その生成・発展・没落の過程と社会主義への移行の必然性を明らかにする。階級闘争・革命の学説においては,歴史の推進力を階級闘争ととらえ,とくに資本主義社会における労働者階級は,階級闘争によって,自らの政治権力(プロレタリアート独裁)を打ち立て,生産手段の社会化と計画経済によって,社会主義・共産主義社会を建設する,とされる。総じて科学性とともに,階級性・革命性を一体のものととらえる点に,また世界観・歴史観から階級闘争の戦術にいたるまでの壮大な体系性をもつ点に,マルクス主義の際立った特質がある。
【帝国主義と革命】マルクス・エンゲルスの時代は,基本的には資本主義の没落を迎えていなかった。帝国主義段階において,社会主義革命が日程にのぼった時代に,マルクス主義の具体的発展を課題としたのはレーニンであった。彼は『帝国主義論』(1917)において,資本主義の最高段階を帝国主義ととらえ,その具体的標識を明らかにするとともに,革命の到来を展望した。このような新しい歴史段階に照応して,マルクス主義に対して,さまざまな新しい理論的実践的課題が提起された。[1]革命を主導する革命党のあり方や組織論,[2]封建的遺制が残存する国における革命(ブルジョワ民主主義革命と社会主義革命の関係の問題),[3]社会主義建設におけるプロレタリアート独裁の問題(ソヴィエト制度など),[4]民族・植民地問題,さらには哲学の分野においても,マッハ主義などブルジョワ的観念論との闘争の問題などである。これらについてはレーニンの理論活動のなかに反映されており,それはマルクス主義の発展とみなされ,マルクス=レーニン主義と呼称されている。
【現代における課題】マルクス主義が,現実の国家における指導的思想となったとき,新たな課題に迫られる。とりわけスターリン時代の個人崇拝にまつわる否定的諸現象が明らかになったことによって,また第二次世界大戦後における現存社会主義諸国家の否定的諸現象(自由・民主主義の侵害,大国主義,社会主義国相互の激しい対立など)の発生によって,現代マルクス主義に対して,深刻な問題が投げかけられている。こうして今日,旧来の理論体系の修正や否定,新たな理論の構築が試みられつつある。それは,古典の再解釈,政治的イデオロギー的上部構造への新たな接近方法の探究,非西欧社会の分析への新たな枠組など,高度に理論的な問題からユーロコミュニズムの登場にみられるような,実践的問題にまで及んでいる。
〔参考文献〕芝田進午他編『講座マルクス主義研究入門』全4巻,1974,大月書店
片桐薫『ヨーロッパ社会主義の可能性』1983,岩波書店