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●マリク

アジア アジア AD 

 アラビア語で〈王〉・〈支配者〉の意味。これをイスラーム的な価値観から分析すると,特殊な意味合いをもつことになる。イスラーム共同体は,正統4代カリフの場合のように,宗教の長にふさわしい人物が,政治の長の地位につくことを理想としていた。したがって上代では,この語は異国の支配者にのみ用いられている。また力で王権を握り,世襲制を採用したウマイヤ朝のカリフたちは,たとえ称号はカリフであっても,実質的には世俗的な権力者と変わるところがない〈王(マリク)〉にすぎないと評価されることもあった。アッバース朝の中期以降,カリフの地位は低下し,政権はブワイフ朝の実力者が握り,教権の代表者としてカリフ位が保存されるが,前者はおおむね〈王〉の称号を唱えた。それ以後支配者は,ほとんどこの名を踏襲している。イスラーム性の強い社会では,この称号はあまり絶体的な権威をもちえないのが,イスラーム世界の特長である。