50音順    検 索

●マリアナ赤色土器 マリアナせきしょくどき

AD 

 マリアナ赤色土器は,土器の表面が一般に赤味をおびているため,このように呼ばれる。現在までの考古学調査によると,マリアナ赤色土器の地理的分布はサイパン,テニアン,ロタ,グアム島に限られ,比較的古い遺跡の深い地層からしか出土されていない。例をいうと,サイパン島ラウラウ洞窟チャランピアウ遺跡テニアン島では巨大なラッテストーンで有名なハウスオブタガ遺跡ロタ島モーチョン遺跡,グアム島のイパオ遺跡やアンダーソン空軍基地内のタラギビーチ遺跡と数が少ない。

 マリアナ諸島の先史において,マリアナ赤色土器は前ラッテ時代に製造された。炭素の年代測定によると,紀元前1500年から紀元9世紀ごろまでの期間である。比較的新しいラッテ時代(9世紀〜17世紀)のマリアナ無文土器に比べ,赤色土器は薄手で,厚さは平均数ミリしかない。土器の表面には赤色のスリップが塗られている。焼成温度が高かったせいか,土器は良質で堅い。土器の形は丸底や平底の口縁が外に反ったボウルやポットが大半をしめている。最古の赤色土器は小形で口縁部の直径は10〜20cmくらいである。

 マリアナ赤色土器のなかには石灰を沈線に塗り込んだ“Limefilled, Impressed Trade Ware”がある。沈線文様は,丸・直線等幾何学文様が口縁部近くにみられる。この沈線に石灰を塗り込むテクニックは,フィリピン,インドネシア,そして南太平洋のラピタ土器にも共通し,太平洋の人類移動理解の一つのかぎを握っている。