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●抹茶 まっちゃ

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 抹茶は茶樹の新葉の良芽を湯蒸してから,揉捻せずに焙炉で乾燥して,その葉茶を石臼で粉抹状にしたものをいう。これに対して煎茶は,蒸籠で蒸してから,むしろにあけて手返し,さめた葉茶を焙炉の上で手揉みを繰り返して乾燥するのである。ただし今日では,機械化された部分が多い。さらに調製の方法としては,抹茶は2gほどに湯を注いで,これを茶筅で撹拌して飲むことになる。煎茶は3g(一人分)を急須に入れて湯を加える。煎茶の高級なものが玉露,葉や茎の堅くなったものを原料とするのが番茶である。したがって緑茶には,煎茶のグループと抹茶とがあることが分る。これらを総称してお茶というのだが,実は抹茶と煎茶には,文化の形態の上で重大な区別が存している。抹茶は宋代における喫茶法でこれを栄西が伝えたとするのだが,室町時代になっていっそう旺盛になった唐物(からもの)崇拝(中国製の美術工芸品を重んじる)の中で,村田珠光(?〜1502)が出て,喫茶用具の国産化を企てる。そこに日本古典の美意識と禅の簡素化を加味した。侘思想を背景とした,茶の湯を成立させた。抹茶という言葉は,茶の湯と同義で用いられることが多い。一方中国では,宋を倒した元によって,抹茶文化は消滅したと考えられ,現に存在していない。ついで明代に中国では,煎茶文化が成立し室町末から江戸初期にわが国に伝来することになる。

〔参考文献〕岡倉天心,村岡博訳『茶の本』1929,岩波文庫

村井康彦『茶の文化史』1979,岩波新書