●増鏡 ますかがみ
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歴史物語。17巻。『大鏡』に模し,『今鏡』のあとにできた『弥世継』(現在逸失)ののちのことを語るという形式で,後鳥羽天皇践祚の1183年(寿永2)から後醍醐天皇が隠岐から還幸された1333年(元弘3)にいたる16帝150年の歴史を編年体で記している。『源氏物語』や『栄華物語』の影響が大きく,優雅な文章で歴代の宮廷生活を描いているが,最初の2巻に後鳥羽上皇の承久の変を,最後の5巻には後醍醐天皇の鎌倉幕府討伐を詳述して首尾呼応し,とくに後者はわずか16年間のことであるのに全巻の約5分の3の記述をあて,真澄の鏡という書名はこのことの真実を明らかにすることを意味していよう。作者については諸説があるが,二条良基説が最も有力である。成立年代は1338年(延元3)以後,1376年(永和2)以前の38年のあいだで,1338年以後間もなくとする説と,1376年あるいはその数年前とする説の二つに分かれており,なお今後の検討課題となっている。