●前田綱紀 まえだつなのり
アジア 日本 AD1643 江戸時代
1643〜92(寛永20〜元禄5)加賀藩5代藩主。夫人は会津藩主保科正之の娘。綱紀時代は幕藩体制の確立期にあたり,また動揺期に入ろうとする時期でもあった。1670年(寛文10)浮浪者を収容する非人小屋を開設して農業に耐える農民の訓練,あるいは盗賊改奉行を新設,士農工商の下に賎民身分をつくるなど,幕藩体制の維持につとめた。他方,学者・文化人を招き中国・朝鮮・オランダの書籍を初め,朝廷・公卿・社寺・大名家に伝わる書籍の書写・購入がなされ,尊経閣文庫として保管された。また細工所を藩営工芸所とし,細工人に得心のいく工芸品を製作させたことから平安王朝風・桃山風工芸が明治維新まで温存され,今日の工芸石川の基礎をつくった。当時の工芸品20種の材料・製作過程・完成品のミニチュアルなコレクションである百工比照は注目したい。このため,加賀は工芸の府・文化の府を形成した。