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●埋葬 まいそう

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 死者を土中に葬ること。日本の葬法の最も一般的な形態と考えられている。

ハカソウレ(墓葬礼)】葬列が墓地に到着すると,棺を左回りに三旋させたあと,棺台において,墓葬礼(墓葬斂)が行われる(三旋は,喪家のカドでするところ,墓地で行うところ,墓穴に棺を入れるとき,墓穴の上で三旋させるところなど,土地によりさまざまである)。ついで,棺を穴に入れるが,死者の頭が北向きになるようにする。棺を穴に入れると,喪主から,死者と血の濃い順に土をかける。あとは,穴掘り役が土をかけてならす。「もう,帰って来るなよ」などと,声をかけながら土をかけるところもある。

【枕石】土を盛りあげて芝をおく,土をならした上に台石をおく,石を敷きつめて葺石状にするなど,墓地の状況も多様である。台石をふとん石・さぶた石など,墓じるしに立てる石を水まつり石・拝み石・枕石など,石の呼称も様々である。対馬の濃部では,死人が出ると,すぐに家人が浜へ行って,浜石を蹴り,蹴りあたった小石を一つ持ち帰って死人の枕の傍におく。これを枕石という。葬後のシアゲがすむと,枕石に戒名を記して,スヤの中に入れる。これをゴリンノイシと呼ぶ。この例のように,枕石や墓じるしの石を入手するのに,いわば,人の意志によらずして神意に委ねようとしたこと,もともと,枕石は死者の枕としたものではないかと思われることなど,枕石の呼称や枕石の習俗は,注目されねばならないであろう。

【タマヤ】埋葬地の上に屋形を据えて,霊屋と呼ぶのは九州に多い。四本竹を柱とし,小麦稈葺き片屋根の簡単なものから,木造の堅牢なものまである。埋葬地の地上におく屋形の呼称には,タマヤのほか,スヤ・露おそいなど,種々のものがあるが,古代,貴族が葬送に際して,鳥辺野の傍に霊屋を造った残留形式ではないかとも考えられている。

【息つき竹】常陸新治郷では,青竹の長さ6尺以上のもの2本の節をぬき,手伝い人の一人が持って葬列に加わる。そして埋葬した土饅頭の中央に立てる。これを息つき竹と呼んでいる。息つき竹は霊の通路とするためのものとも考えられている。墓に参るたびに,息つき竹をゆするとか,息つき竹に水を注ぎかけるとか,息つき竹を死者の頭の位置に立てるとか,息つき竹に関連する習俗には,考究すべきものが少なくない。

【狼弾き】棺を埋めた周囲に,先のとがった竹や割った竹を巡らす。弾き竹・狼弾き・犬弾きなどと呼ぶ。山犬や狼が掘りかえすのを防ぐためだという。また,木を3本組み合わせて立て,それに鎌や鍬をかける。これをサンギと呼ぶ。鎌を直接,墓上に突き立てるところもある。埋葬後毎晩,墓見舞として,墓にいたり,鎌で空を切る地もある。かかる事例からすれば,山犬や狼ではなくて,もっと恐るべきものを避けようとしたのが,窺い知られるであろう。

【引っ張り餅】津軽地方では,埋葬した地上の四隅に,ウツギを1本ずつ立てる。さらに,その中央にも1本ウツギを立てる。これらのウツギには,餅を一つずつ突きさす。そして中央のウツギにさした餅を,4人が引っ張りあう。ちぎれた餅を,後ろ向きに投げる。この引っ張り餅は,火葬場で行うところ,四十九日にするところなど,全国の各地方にみられる。

【デコ】香川県佐柳島では,杖と藁草履と並んで,桐の木のデコ(人形)を立てる。このデコは身内の者が作り,葬列には,位牌の前を行き,ハカソウレのあと,墓地に立てる。このデコは地蔵だとも,死者がこれに乗り移るともいう。

【水汲み】岡山県の蒜山地方では,葬列の最後を水汲みが行き,埋葬がすむと,「おーい,水(汲み)」と呼ばれて水桶を持って出る。この水を拝み石にかける。普段は水汲みに行った者を呼んではならないという。

〔参考文献〕柳田国男『葬送習俗語彙』1975,復刻,国書刊行会

竹田旦編『日本民俗学講座2』社会伝承,1976