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●本能 ほんのう instinct

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 動物が系統発生の過程で環境への適応という形で発達させてきた生得的な行動傾向。ダーウィン以来,動物心理学には早くから本能が登場していたが,マクドゥーガル(1871〜1938)は,『社会心理学』(1908)のなかで,人間行動を本能によって記述した。行動は機械論的因果論的というよりむしろ目的志向的であり(目的論的心理学),行動の目的を与えるのが本能であるとし,群居・闘争・母性・逃走など,多数の本能を列挙した。しかし,行動に本能の名をつけるだけでは説明にはなりえない。そのため,本能概念はしだいに心理学から姿を消し,代わって要求・動因・誘因の概念が使われるようになった。フロイト理論では,人格の三つの構成要素の一つであるイド(エス)を源泉とする無意識的な心的エネルギーの重要な部分が本能衝動で,自我本能と性本能に大別される。比較行動学では,種に固有な行動様式で,組織立った一連の反応連鎖(営巣行動配偶行動など)をいう。