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●盆行事 ぼんぎょうじ

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 陰暦7月13日から15日ごろを中心にして行われる先祖祭り。精霊を迎え,まつり,送るこの盆行事には,日本人の霊魂観・他界観・先祖観が如実にうかがわれる。

【盆の由来】民間の盆行事の由来について,おもに次の2説がある。すなわち仏教行事の盂蘭盆会が中国から伝わり,606年よりわが国でも行われるようになり,この盂蘭盆会の名称が略されて,単に「盆」といわれるようになった,とする説。ところが柳田国男は『先祖の話』(定本第10巻)のなかで,これを否定する。つまり盂蘭盆会の伝来以前に,わが国には春・秋2季における魂祭りがあり,そのさい精霊に供物を盛って供える素焼きの器をホトキと称し,このホトキにちなんでホトケという精霊名も発生し,やがてホトキという器物名に瓮や盆という漢字があてられた結果,精霊祭りもボンと呼ぶようになったと指摘する。以上のように盆の発生を仏教以前のホトケまつりに求める説,仏教伝来以降の盂蘭盆会におく説の2説があるが,現行の盆行事をみてもうかがえるように,7月1日を盆の口・盆仏朔日・釜蓋朔日などと称し,精霊があの世を出発する日とする所もあり,また7月30日をシマイ盆・三十日盆,8月1日を八朔盆と称し,盆の終わりの日とするなど,かつては盆は1カ月余りも長期間営まれていた形跡がある。7月15日のみの盂蘭盆会の本質からみると,民間の長期にわたる盆行事は異質である。したがって,仏教以前にも初秋の魂祭りがあり,この民俗を基盤にして,中国伝来の盂蘭盆会が習合し,盆行事が仏教色をおびるようになったとみるべきであろう。

【盆行事の内容】7月1日を盆の始まりとする所があり,この日地面に耳をあててあの世の釜の蓋のあく音をきくという風習もあった。7月7日は七日盆・ナヌカビ・盆の入り・仏のコトハジメ・ミガキ盆などと称し,全国各地には多くの行事がみられる。大別すると,[1]先祖祭,[2]収穫祭,[3]厄神祭や厄神払い,の三つがある。[1]には高灯籠立て・迎え馬立て・迎え火焚き・盆路つくり・墓掃除・仏壇掃除・盆棚つくり・寺参りなどがあり,とくに新仏のある家ではこの日から死霊を祀り始める例が多い。[2]には田ホメ行事,墓地や仏壇あるいは氏神や神棚への稲穂や赤飯・団子・瓜・ナスなどの供饌。[3]にはネブタ流し・井戸さらえ・川水泳び・女の髪洗い・牛馬洗い・水神祭などがある。「7回水を洗び,7度親を拝む日」ということばのとおり,ミソギをして先祖祭祀をする日であった。13日に精霊迎えを全国的にする。迎え火を家・辻・水辺・墓・山などで焚いたり,万灯・百八灯をともしたり,迎え馬を門先に立てたり,迎え舟を流したり,墓から仏を背負ってくるまねをする所もある。『越後国長岡領風俗問状答』には,三島郡親澤村あたりの風習として,13日の迎え日と16日の送り日に,それぞれ背負う体をして川辺と家を往来する状況が記されている。『出羽国秋田領風俗問状答』には,13日の迎え火を焚くときに,村童らが〈おお爺な,おお婆な,馬こにのりて,牛(べこ)こにのりて,明るいに来たふらへ,来たふらへ〉と唱えながら焚くと記している。精霊は爺さん・婆さんのイメージであった。盆の期間中には,盆踊り・盆綱引き盆竈盆小屋盆念仏棚経施餓鬼などが行われ,村里を訪れた霊のまつりが繰り広げられる。

【盆にくる霊の種類】盆にまつられる霊は死霊・精霊・祖霊・神霊・無縁仏である。1〜3年忌までの死霊を荒棚で,それよりあとの33年忌までの精霊や33年忌をすぎた祖霊を仏壇前などに設けた盆棚で,さらに神棚で神霊をまつる。無縁仏(餓鬼)に対しては,外庭の無縁棚でまつる。盆には生きている親に生魚などを捕って贈る生見玉という風習があるが,このイキミタマという贈答の名称は,実は物品を贈られる親の生きた霊魂(生御霊)を意味することばであり,盆が生者の霊魂の再生強化をはかる重要な節日であったことがうかがえる。村里を訪れた諸霊神仏は15〜16日ごろ,あるいは30日前後に送り火精霊流しであの世へ帰る。

〔参考文献〕宮田登編『暦と祭事』1984,小学館

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