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●法螺貝 ほらがい

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 海産の法螺貝を細工して信号用に吹くもので,法螺はその略称。吹奏貝はアジア・アフリカ・アメリカなどで広く用いられ,中国の敦煌の壁画中にも見られる。日本では平安時代以降に修験者・山伏の峰入修行や法会の場の法具の一つとされ,『法隆寺文書』九,1078年(承暦2)10月3日の『金光院三昧僧等解』に〈堂守を営作し,始めて三昧を修し,其の後宝螺の声絶えず。礼仏の勤,倦むこと無し〉とみえて,院政期には勤行にも用いられた。また戦国時代には,軍陣の合図などに三巻半の貝が大いに使用された。

法螺貝の修験道的効用】平安末期の俗謡をあつめた『梁塵秘抄』に〈山伏の腰につけたる法螺貝の〉とあり,先達は出寺・入宿・案内・応答などに法螺貝を吹き分けて,山伏の入峰の集団行動や日常の集団生活の合図とした。一方法螺貝の音は悪魔や猛獣を恐れさせる呪力があると信じられ,山伏は法要の前や途中で法螺貝を吹く。東大寺修二会のお水取りで,練行衆が盛んに法螺貝の吹き合わせをするのは,その意味である。また修験道芸能(神楽・田楽・延年・語り物・祭文など)が多く残った三信遠地方のうち,静岡県磐田郡水窪町所能の西浦観音堂正月行事である西浦田楽では,田楽衆による天狗寄せの法螺吹きがある。まわりの山々に住む天狗「山の神」に法会の開始とその守護を祈るのであるが,法螺貝の実用性とともに,宗教性・呪術性を修験道との関連で検討する必要があろう。

〔参考文献〕行智・五来重編註『木葉衣・踏雲録事他』,東洋文庫273,1975,平凡社

五来重『修験道入門』1980,角川書店

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