●ホーホフート
ヨーロッパ ドイツ連邦共和国 AD1931 ワイマール共和国
1931〜 『追究』のヴァイスなどとともに「記録演劇」の一翼を担うドイツの現代作家。初め出版社に勤めていたが1963年に発表した処女作『神の代理人』はナチスのユダヤ人虐殺に積極的反対を示さなかったローマ教皇ピオナ2世の責任を問うた作品で,世界各国で衝撃的センセーションをまきおこした。その後,無差別爆撃を推進するチャーチルの陰謀を扱った『兵士たち』(1967)などの作品は発表のつど大きな物議をかもした。それらを貫くものは,巨大化した現代の組織・体制のなかにあっても,いやそうであればこそ,それにかかわる個人の責任はあくまで追及されねばならぬとする確固たる人道主義的信念である。『法律家たち』(1979)も戦時中非人道的判決を下した軍の法官たちが今政治の中枢を握っていることを指弾した作品で,このため実際ある州の知事は辞任に追い込まれた。ほかに喜劇・評論・小説も多いが,なかでもソフォクレスのそれをナチスの時代に移した『ベルリンのアンティゴネ』(1965)は小品ながら珠玉の名篇に数えられる。