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●ぽっくり寺 ぽっくりでら

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 1970年代に入って老人医療の進歩・老人福祉の発達に伴い平均寿命がどんどん伸び,いわゆる高齢化社会の出現となったが,その反面,ぼけ老人や寝たきり老人などが社会問題になり,一方,家族の核家族化の進行で老人の世話が嫌がられるようになった。こうした風潮のなかで,ぼけたり,病気や老衰で寝たきり老人になって長々と家族に手数をかけたり,社会に迷惑をかけるのを恐れて,“ポックリ”と安楽に死にたいと願う老人が多くなった。こうした老人の願望に答えて,参詣するとその功徳で何の苦痛もなくポックリと安楽往生できるという寺が全国に何カ所も現れ,観光業者の便乗企画や宣伝もあって,こうした寺は観光バスなどで参詣する老人たちで連日賑わうようになった。このような寺の一つに“ぽっくりさん元祖”と自称する大和の阿日寺(浄土宗)がある。寺伝によると恵信僧都源信)誕生の地で,僧都が母のため刻んだ阿弥陀如来,父のため刻んだ大日如来を本尊とし,2仏の名をとって寺名とした。985年(寛和1)9月17日,母の臨終にあたり僧都が自ら母に浄衣を着せ,除魔の法を修し,母とともに念仏されたところ,翌日,母は何の苦しみもなく心安らかに往生した。僧都は母の忌中に阿弥陀如来の像を刻んだが,この故事にあやかって阿日寺の阿弥陀如来に参り,安楽往生したいという人が後を絶たない。ここでは,浄衣(新しい肌着)を持参して3回以上祈願することが求められ,第1回が健康長寿,第2回が除厄,第3回が満願安楽往生,第4回以降は諸願成就の祈願とされている。こうした種々の故事にかこつけ,老人の無病息災と安楽往生を願う寺は付近にも“吉田寺”があり,各地で行われている。同じような趣旨で参詣すると,年をとってからも息子の嫁の世話にならず安楽に往生できる功徳があるという“嫁いらず観音”の信仰も生まれた。その一つに行基の開山と伝えられる笠原(岡山県)の“樋之尻山観音”があり,西日本各地からの参詣者で賑わっている。