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●ホスローとシーリーン

アジア イラン・イスラム共和国 AD 

 イランのロマンス叙事詩人,ニザーミーによって1171〜81年にかけて6,500対句をもってうたわれた長篇のロマンス叙事詩。ササーン朝の王,ホスロー2世(在位590〜628)と美女シーリーンをモデルにした恋物語で,民族叙事詩『王書』を初めペルシア文学には数多くの詩人たちが好んでこのモチーフで作詩を試みた。ホスロー王と美女シーリーンの長い愛の遍歴をめぐる恋問答・恋人たちのあらそい・結婚,暗殺された王の後を追って自害するシーリーンの悲劇で物語は終わるが,報いを求めず,美女にひたすらの愛を捧げる石工と,現世の愛を求めるホスロー王とのあいだで交わされる“恋問答”はペルシア文学における愛の本質の追求,神秘思想を表すものとして名高い。技巧派で華麗な語彙と独特の比喩・隠喩を用いた詩人ニザーミーの傑作であり,イランはもちろんのこと世界各地で広く愛読され,ミニアチュールやバレエの題材ともなっている。