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●墨子 ぼくし

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 生没年不明。中国戦国時代の墨家の祖,魯の人で名は墨テキ※注1※。孔子と孟子の間,前5〜4世紀の人。初め儒家に学んだがやがて訣別し独自の思想を説いた。彼は天を人格神として信じ,とりわけ禹を敬った。人は天の前に平等であり肉親や家族の範囲を超えてすべてを差別なく愛すべきこと(兼愛),天の意を奉ずる天子が才能の程度に応じて賢者を登用すべきこと(尚賢)などを説いたが,ユニークなのは彼の非戦論(非攻)である。戦争は兼愛の精神に反するだけでなく富の浪費であり,積極的にこれを防止すべきであるとする。墨子は優れた軍事技術者でもあり,城の防禦に腕をふるって楚の宋に対する攻撃を断念させたという。彼の死後,墨家は三派に分かれ軍事技術をもって各国に仕えたが,その厳しい内部規律は「墨守」のことばを生んだ。また墨家は独自の用語法で数学・物理学・論理学の研究も進めたが,漢代には衰えて消滅した。墨家の説は『墨子』にまとめられている。

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