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●方丈記 ほうじょうき

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 随筆。1巻。鴨長明著。1212年(建暦2)3月末成立。58歳のころで出家して蓮胤と称す。慶滋保胤の『池亭記』の影響が指摘されるが,体験に即した心情吐露・激しい内面告白が,格調高い和漢混交文体で表現され,『徒然草』と並ぶ高度な作品となっている。とくに冒頭の人と住家の無常変転の総括,これを受けた天災人災による庶民の悲惨と都の荒廃の活写,世の生活の心休まらぬことへの慨嘆,生涯の回想と閑居を得た喜び,方丈の庵室と四囲の自然の描写,独居の利と三界唯心の心境説明という展開を受け,老身の執心の自覚,仏道修行から遠い姿の反省,その原因を明らかにし得ぬままの念仏,という急転した結末に進む構成はみごと。末尾の作者の内実について種々の見解があるが,「不請の阿弥陀仏」の後の沈黙が,読者への問いとなる点に意義がある。大福光寺本などの古本系と正保版本などの流布本系の広本のほか,五大災厄などを欠く略本がある。

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