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●奉公人市 ほうこうにんいち

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 奉行人の出替りの時期に,出稼ぎ人を対象としてその雇用の仲介斡旋を目的とする労働市場。秋田県横手市のワカゼ市は秋冬二回に開かれ,近郷近在のワカゼが集まり自作の草鞋や草履などを披露しつつ雇い主を待ち,雇い主はそのなかから意に適った者と直接契約し直ちに伴い帰った。山形県の長井盆地では,虚空蔵山の旧4月17日の祭りに,周辺農村から繰り出してくる労働者を養蚕業の労力として雇う市が開かれた。山口県豊浦郡滝部村(現,豊北町)の奉公市は,春秋二季に漁村の女性労働力を対象として,福岡県の大島(現,宗像町)では,10月2日の宗像神社祭に娘が農民と契約する市があった。こうした市は,漁村の労働力が農村へ吸収されるものとして発達したのである。奉公人市は,耕地の少ない地方でとくに冬期の仕事のない人々の出稼ぎ慣行の盛行を背景として,労働力の需要と供給のバランスが整うようなマチ場・地方都市に発生したと言える。