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●宝巻 ほうかん

アジア 中華人民共和国 AD 

 明・清以後民間に流布した善書の一種である通俗教典に対する通称。その淵源は唐・五代に仏教の俗講に用いられた変文,その後の科儀書・壇儀書・懺法書に求められるという。明の正徳年間(1506〜1521)に無為教を開いた羅清のいわゆる五部六冊の刊行以後,民間の宗教結社で教派の教説を宣伝し,音曲性を加えて勧善を説く宝巻が多数刊行され,民衆の間に宣唱宝巻(宣巻)の風も一般化した。しかし,民間の宗教結社の多くが反体制的色彩を有していたために,官憲はこれらの宝巻を異端的社会層を邪教に結集する妖書・邪教典として取り締まりの対象とした。清代に王朝体制が安定するに伴って邪教取り締まりの対象とされやすい宝巻の刊行は下火となったが,嘉慶年間(1796〜1820)以後は教派色の稀薄な宣講書・勧善書としての宝巻が再び盛んに刊行されるようになった。中華民国になると宗教書としての性格はますます薄れ,娯楽性の強い読み物となった。