●ペルシア人の手紙 ペルシアじんのてがみ
ヨーロッパ フランス共和国 AD1721 フランス王国
モンテスキューが,1721年,匿名で公けにした書簡体小説。2人の主要人物であるペルシア人のユスベックとリカが,1711年から1720年にかけフランスを旅行し,その旅先での見聞を故国の知人に報告する。一方で,留守中のハレムで起きた女奴隷の反乱の知らせをうけるという往復書簡の体裁をとる。モンテスキューがペルシア人を登場人物に設定したのは,当時のペルシア=ブームにのりつつ,フランスの現実を批判するためである。また複数の人物が書簡を交わすしかけによって,モンテスキューはさまざまな現実問題,たとえば習俗の頽廃,経済の破綻,統治形態,人口,道徳と自由などについて自身の考えを多様なしかたで表明することができた。さらにこの作品はフランス小説史のなかで,前世紀の荒唐無稽な娯楽小説から,リアリスティックな新しい小説の確立へと向う先駆的な役割を果たした。それはまたのちの『ローマ人盛衰原因論』『法の精神』を準備する作業でもあった。