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●ベネズエラ

南アメリカ ベネズエラ共和国 AD 

 ベネズエラ共和国。南アメリカ大陸の北端に位置し,東はガイアナ,南はブラジル,西はコロンビアと接し,北はカリブ海に面している。国名はアメリゴ=ベスプッチとアロンソ=デ=オヘダが,ベネズエラ湾を探検したとき,インディオが住むマラカイボ湖の杭上家屋の風景がヴェネツィアに似ていたとして,「小ヴェネツィア」を意味するスペイン語を名づけたことに由来する。面積91.2万平方km,人口1,431万3,000人(1981),首都はカラカス。

【風土】国土は西部のベネズエラ高地,中央部のオリノコ川流域のリヤノ地帯,南部のギアナ高地に区分される。ベネズエラ高地はコロンビアから続くアンデス山系の支脈で,西からペリハー山脈メリダ山脈が北東から東西に延び,ラコスタ山脈は,首都カラカスの南部を東西に走る。これらは新生代第3紀に隆起した新しい褶曲山脈であり,地震帯ともなっている。ペリハー山脈メリダ山脈とのあいだにはマラカイボ湖があり,その周辺は沖積低地をなしている。ここは沈降盆地であり,1917年の油田発見後,開発がすすんでいる。リヤノはオリノコ川流域の熱帯草原地帯でサバナを形成し,牧場として利用されている。ギアナ高地は古い楯状地であり,良質で豊富な鉄鉱床,金山やダイヤモンド鉱区がある。気候は大部分の地域が北東貿易風の影響を受け,雨季(5〜11月)と乾季とが明瞭となる。また,ベネズエラ高地は,1,000〜2,000mの高度で,気温が熱帯にもかかわらず低く,常春の状態となり,都市が集中している。

【住民】住民の約65%はメスチゾで,白人は約20%,黒人は7%,残りはインディオとその他の混血である。インディオは,主としてギアナ高地マラカイボ湖西の森林に住む。彼らの多くはスペイン人と同化し,混血化したため純粋のインディオは少ない。白人はスペイン系を中心とするラテン系が多く,おもにカラカスなどの高地都市に住む。アメリカ人は石油事業の関係で,おもにマラカイボに住んでいる。黒人は海岸部におもに居住するが,ベネズエラはプランテーション経営が十分発展しなかったため,数は少ない。公用語はスペイン語で,宗教はカトリック信徒が多い。ベネズエラは人口増加率が高く,近年人口の都市集中も著しい。1人あたりの平均国民所得が中南米では最高であるが,貧富の差が大きく,都市のスラム化や農村部の近代化への政策の遅れなどが大きな問題となっている。

【歴史】ベネズエラは1498年,コロンブスの第3次航海で発見され,1500年,沖合のマルガリータ島に近いクバグア島に,スペイン人が南アメリカ初の植民地を建設し,南アメリカ進出の足がかりとした。1508年以来,オヘダのもとで開拓がすすめられ,ペルー総督の支配下に置いた。1780年から1795年にかけて,黒人奴隷とムラトの権利要求運動と暴動が発生し,1810年,カラカス市議会がスペイン人総督を追放,1811年に独立を宣言した。その後,ボリバルの解放軍と,スペイン本国軍の抗争は続いたが,1819年,グランコロンビア共和国の1連邦となり,1821年,スペイン軍を一掃してベネズエラを解放した。1830年,ベネズエラはホセ=アントニオ=パエス将軍の指揮のもとに,グランコロンビアから脱退し,エクアドルとともに分離独立した。1908年のゴメスによる軍部独裁政治は27年間続いたが,石油や他の鉱物資源の発見により経済開発はすすんだ。1935年以後,社会主義的な諸政策の実施で民主化もすすみはじめた。第二次世界大戦後も,軍部の独裁やクーデタが相次いである。1959年〜64年のベタンクールは急進派と保守派の中間路線をとり,ベネズエラ建国以来,打倒されず任期を全うした最初の大統領でもあった。

【文学・美術】18世紀末ごろは,カラカスがカカオの交易により文化活動も盛んになり,進歩的な思想も芽ばえた。ラテンアメリカ独立の立役者であるボリバルミランダはここから出現した。19世紀のラテンアメリカ文学の第1人者は A.ベリョ(1781〜1865)である。独立運動に参加し,言語学者・人文主義者として大きな影響を後輩に与えた。19世紀で最も独創的な詩人である。A.P.ボナルデ(1846〜92)はロマン主義派であるが,モデルニスモの到来を予告している。モデルニスモの散文の確立者は,ディアス=ロドリゲス(1878〜1927)で,『色のある物語』『壊れた偶像』は優れた小説作品である。ブランコ=フォンボナ(1874〜1944)は,独裁者ゴメスを糾弾して『英雄の仮面』を描き,その他『鉄の男』『黄金の男』などの長編小説や『ボリバルの精神』などの歴史や評論などを著し,今世紀の文学界に大きな貢献をした。今世紀ベネズエラの最大の作家は R.ガリエゴス(1889〜1969)である。『ドニャ=バルバラ』『カナイマ(悪霊)』などの作品があり,祖国の生活・文化に力を入れ,描き続けた人である。

 地震の多いベネズエラでは,建築物は古いものが少ない。17世紀に建築されたカラカス大聖堂は,1970年代に改築され,原型とは異なるものになっている。1938年からカラカスでの首都新市街地建設工事がすすめられ,現代的建築が都市計画のなかに組み込まれ,中心のボリバル広場に,二つの高層ビルが建てられた。これは国会議事堂,ボリバルの墓所であるパンテオン,各行政諸官庁庁舎,大学とその付属病院などである。

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