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●平家物語 へいけものがたり

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 軍記物語。13世紀半ばごろ成立。作者は『徒然草』に信濃前司行長(ゆきなが)とあるが,未詳。琵琶法師によって,平曲(へいきょく)として語られる。平清盛の父忠盛が,昇殿を許されたことからの,一族の栄華の状態を記し,平家討伐の企て,以仁王(もちひとおう)の乱,木曽義仲・源頼朝の挙兵,一門の都落ち,そして最後に一門が壇の浦で滅亡していく有様が,生々しく描かれている。「灌頂(かんじょう)の巻」においては,一門の滅亡後,洛北大原に隠棲した建礼門院徳子(けんれいもんいんとくこ)が,後白河法皇の忍びの訪問を受け,安らかな臨終を迎える姿が描かれている。諸行無常・盛者必衰の無常観や,因果応報・欣求浄土思想を背景とし,人の世のはかなさ,滅び行くものの美しさを叙述している。文章は,和漢混交文で,すでに『保元物語』『平治物語』などに盛んに用いられているが,それを対句・七五調の修辞等によって,美しく飾っている。