●文鏡秘府論 ぶんきょうひふろん
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空海編著。天・地および東・西・南・北巻と名づけられた6巻から成る。809年(大同4)から820年(弘仁11)までのあいだになる。詩文作成の鏡として中国の六朝後期から中唐期にかけての詩論を略抄編集したもので,天巻の総序と東巻・西巻の小序を除き,ほかはすべて原典から部分的・全体的に,原文の字句を改変せずに取捨し接合している。この書は空海の宗教活動以外の文字・文章への関心と造詣を示す,主として真言宗の学僧間で読まれたにとどまり,日本の詩学の発達にはあまり影響を与えなかった。しかし,原典たとえば六朝後期の『四声譜』(著者不明)・劉善経の『四声指帰』あるいは唐代の元競『詩髄脳』・崔融『唐朝新定詩体』などは中国でも散逸したため,本書によってはじめてそれらの内容や著者を知ることができる,文献史的にはきわめて貴重とされる。なおこの書の要旨である『文筆眼心抄』は820年に成立。