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●文化交流 ぶんかこうりゅう

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 世界の諸地域に展開する文化の相互交流の総称である。文化のにない手,たとえば芸術家・学者だけでなく一般市民も含めて人々が訪問しあったり出会うこと,あるいは文化の具現されたものとしての文物を交換し合うこと,制度や習慣などを学び合うことなどをまとめて文化交流と呼んでいる。また,それを推進すること,あるいはその政策や運動をもって文化交流と呼ぶこともある。文化の伝播が一方通行の概念であるのに対して,交流の概念の背景には,文化が相互に伝播しつつ,伝播する内容が変化し,かつ伝播の送り出し側と受け入れ側の双方がそれによって変化させられる,いわば文化の相互作用の考え方がある。

 したがって交流する文化の内容は,言語・宗教・芸術・学問・技術などの精神文化,財とサービスの生産・流通・消費や衣食住にかかわる物質文化,および社会生活を営む上での習慣や制度などが含まれる。文化交流の上では,人々の交流の契機として,業務上の旅行,研修や留学などの長期滞在,植民などの移住などが大きな影響をもっている。短期的には,人々の交流の契機として,スポーツ大会,各種の学会,展示会や博覧会など国際的な集会や催しがあげられる。さらにさまざまな文物が貿易によって輸出入され,ラジオ・テレビや書物によって伝えられる。世界の諸文化は,それを育てあげてきた舞台としての自然環境とともに各地域ごとに異なっており,きわめて個性的である。その地域独特の,他の地域に存在しない文化を“地域文化”と呼んでいる。しかし現実には,文化はさまざまな内容を含んでおり,その文化内容の項目によっては,他と共通する性格をもっている部分も少なくない。実際,地域という概念そのものが,暗に,一定の広がりをもった地域に共通する文化が存在することを認めているのである。“地域文化”とは,いわば個性的であると同時に普遍的な存在である。この独自の文化をもつ地域を,その範囲では文化的に共通していることに着目して,“文化地域”あるいは“文化圏”と呼んでいる。したがって着目する共通点によって“文化圏”はいかようにも拡大・縮小してみることができるし,副次的な小地域に細分類したり,いくつかの文化圏をまとめてより高次の大地域を設定することも可能である。

 “文化圏”には中心地域と周辺地域があり,文化は中心から周辺へ伝播してゆくとする考え方もあるが,周辺地域は他の文化圏の性格を合わせてもつ,一種の漸移帯あるいは境界帯でもあり,必然的に交流が行われている地域である。しかしその境界帯が少数民族問題を内包する地域である場合には,たとえばドイツ−フランス間のアルザスのような地域では,歴史的にしばしば国際的な紛争地帯となるなど,政治が文化交流に優先した事例が多い。第二次世界大戦後,東プロイセンをはじめ東ヨーロッパの各地で,政治的な境界にあわせて文化的に純化した民族単位の国をつくるため,多くの人々が移住することとなった。

 文化交流が進み,各地域文化がより多くの共通性をもつにつれて,共通性にもとづく文化圏はより拡大される。なかでも最も共通性の高い文化の姿は,世界文化と呼ばれるようになった。また各地域文化は交流を通じて他の地域文化と結びつき,人類全体の文化を形成しているのであるから,各地域文化をサブシステムとする全システムをまとめて世界文化と呼ぶこともある。かつて,お互いに孤立した,地域文化を外界に開いた力が文化交流である。

 運動ないし政策としての文化交流は,ある地域文化が他の文化を一方的に破壊し,消滅させるのではなく,各地域文化がそれぞれ世界文化の一部であり,たがいに学び合って発達してきたことを評価し,それを積極的に進めることをめざしている。実際,いかに個性的な地域文化でも,その内容のほとんどは他の地域から受け入れたものであり,地域はおのおのがなんらかの要素をもって,世界に貢献しているのである。したがって文化交流は国家の外交政策としても,軍事・経済外交以上に,いわゆる平和外交の基本となっている。