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●プロレタリア

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 語源的には,古代ローマでいっさいの権利を失った下層貧民層を呼んだ proletarii(単数形 proletarius )に由来する。16世紀イギリスの人文主義者トマス=スミスも,当時のイギリス社会の最下層民衆を〈支配することなき人びと〉と説明した上,〈古代ローマ人がプロレタリアないし乞食とよんだ人びと〉といいかえている(『イギリス王国論』1583)。しかし,近代的な用語法としては,対をなす「ブルジョワ」ないし「ブルジョワジー」とともに,マルクスのつくりあげた概念が一般化している。すなわち,資本主義的生産関係のもとで,いっさいの生産手段を奪われ,ただ自己の労働力を売り渡す以外に生活のすべのない階級のこと。つまり,資本家に対する労働者。ただし,こうした賃金労働者(「賃金プロレタリア」)のほかにも,彼らの予備軍,いわゆる産業予備軍の役割を果たす浮浪者・犯罪人・売春婦などの「ルンペン=プロレタリアート」がいた。「プロレタリア」が「無産者」と訳されるのに対応して,「ルンペン=プロレタリア」(略して「ルン=プロ」)は「浮浪無産者」などと訳される。近代の用語法でいうプロレタリアは,歴史的にいえば,中世末以来,「資本−賃労働関係」の創出過程であるいわゆる「本源的蓄積」(「原始的蓄積」略して「原蓄」)の過程で生み落とされ,産業革命によって一つの階級として確立する。プロレタリアは,要するに「ブルジョワ」の対概念だから,前者がなければ後者もなく,後者なしには前者もないというのが,マルクス主義史学では常識である。しかし,非マルクス主義的な考え方では,たとえば17世紀のイギリスを「一階級社会」(ラスレット)とするような考え方もあって,必ずしも二階級モデルにこだわらない場合もある。政治的には,資本主義社会のブルジョワ支配体制のもとで,抑圧された階級であるプロレタリア階級は,絶え間ない階級闘争によってこの体制を打倒し,プロレタリア独裁の体制を打ち立てるべく社会主義革命を展開する,とする考え方がかつては一般的であった。最初にプロレタリアが政治の場面に大きな力をもって現れたのは,1848年の諸革命(フランス二月革命など)であったが,彼らが本格的に政権の一部を担ったのは,パリ=コミューンが最初といわれる。1917年のロシア革命は,結局プロレタリア独裁を確立した点で画期的であった。

〔参考文献〕マルクス・エンゲルス『共産党宣言』岩波文庫ほか

マルクス『賃労働と資本』岩波文庫ほか