●プロクルステス
AD “プロクルステスの寝台”、ということばで有名な悪党。プルタルコス『テセウス伝』でテセウスのアテナイへの冒険旅行の最後に登場し、本名をダマステスと呼ばれている(11章)。別の伝承ではポリュメムノンとかプロコプタスとか呼ばれる。これらはいずれも、彼の殺人行為に関係しており、いわば一種の綽名であると思われる。彼はアテナイからほど近いところ、エレウシス近くか、あるいはサラミス島に面した海岸に棲んでいて、とおりかかった旅人を打ち負かして(ダマステスとは“打ち負かす人”の意)、彼らをむりやり寝台に横にさせた。寝台は二つあって、もし大きい方の寝台よりも背丈が短かければ、彼らに“大いなる災厄”となった。寝台の長さになるまで手足をハンマーで打ち伸ばし(プロクルステスとは“引き伸ばす人”の意)、あるいは重りをつけて引っ張って殺したからである。しかし、短い方の寝台に寝かされた人も不幸であって、身体がそこからはみ出したときには、手足を切り落されたのである(プロコプタスとは“切り落す人”の意)。テセウスと対決したこの悪人は、〈自分の不正な所業の遣り口をもって罰を受ける〉(プルタルコス)ような方法で、つまり、自分の殺人道具であるハンマーでたたき潰されたのである。一説ではこのハンマーは、父ポリュメムノンのものであったという。