●ブルーム
北アメリカ アメリカ合衆国 AD1913
1913〜1942年 シカゴ大学で Ph.D.を取得。シカゴ大学教授。主要な研究領域は教育測定と評価ならびに発達心理学における個人行動の不変性と変化である。1965年にアメリカ教育研究協会(AERA)会長となる。ユネスコ派遣の教育専門家として,いくつかの国のカリキュラム改革,教授・学習の指導を行った。1972年と1983年に来日し,教育評価とくに到達度評価(絶対評価法)のためのテスト作成,マスタリー=ラーニング(完全習得学習・習熟学習)について講演した。従来,あるいはこんにち行われている教授法では,子供のある学年での読解力や学力はかなりの程度において予測可能である。アメリカでは,初等教育3学年の学力から中等教育11学年(高校3年)の学力さえ予測可能な状態にあることを,彼の縦断的追跡研究で明らかにした。これは義務教育集団が,その素質や能力において正規分布に近いため,ある画一指導を行えば,当然の帰結として,学習後の学力分布も優から劣まで正規分布することになるが,これは必然的に落ちこぼれを生産することになる。それを最小限に防ぐための指導法として,現在の30〜40人学級で可能な方法を工夫提案した。それは原則的に2〜3週(約10時間)ごとに学習者の習熟度を調べる試しのテスト(形成テストによる形成的評価)を行い,A の成績を得た者以外について矯正や補充の指導を行う。その数日後において,試しのテストと内容的に並行した第2回の試験を行い,A の成績を得る者が80〜85%になるよう個別指導を工夫する方法で,次の課題(単元)にも同様な技法を繰り返してゆく。このようなマスタリー=ラーニングの方法においては,優れた形成テストの作成と採点・評価・個別指導という教師の努力が要請されることになる。このことは必然的に具体的な教育目標の設定・確認とカリキュラムの改善につながってゆく。それは単に学習した知識に関するテストだけでなく問題を分析する能力(帰納推理)や法則を用いて説明する能力(演繹推理),さらに創造的に問題に取り組んだり,批判するなどの高度な精神活動も調べられるようなテストや測定法を工夫し開発する必要がある。彼とその共同研究者たちは,戦後の長い期間をかけて「教育目標分類学」の体系化を行っている。教育目標は大きく“認知領域”“情意領域”および“精神運動領域”に分けられるとし,1956年に『認知領域の教育目標体系』を,つづいて1964年に『情意領域の教育目標体系』を刊行している。上記のマスタリー=ラーニングの考え方も,このような教育目標の具体的な再構成がその背景にあり,抽象化された単なる法則や理論ではない。いわゆる知識を中心とした認知領域の学力テストは従来行われてきており,一次元・単極性の能力テストであるが,単元の教授・学習に則した診断的形成テストの充実が完全習得学習を左右する今後の研究課題となっている。こんにちの教育においてとくに必要な情意領域の指導と評価は,今まで教授者の主観的評価に任され,その妥当性についてはなお不十分である。激変するこんにちの高度情報社会において,誰もがその諸領域に好ましい興味・関心・態度を形成していくことは教育の重要な目標となる。このような興味・関心・態度を含んだ情意領域は,相対的な価値観形成の両極性の要因であることも評価尺度の困難さがある。しかし,ブルームも述べているように,学習者の自己意識(自己評価)の形成に関するものであるから,教師の側の正しい視点にもとづいた行動観察評定が主要な評価用具となり,表1のように学習者の自己評価も大切である。〔参考文献〕小林利宣「教育目標としての「関心・態度」とは」「指導と評価」1981年10月号
B.S.ブルーム「落ちこぼしのない教育の方策」「指導と評価」1983年10〜12月号
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