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●フリッシュ

ヨーロッパ スイス連邦 AD1911 

 1911〜 チューリヒ生まれの劇作家・小説家。初め建築家として自立し,かたわら作品を発表していたが,長篇小説『シュティラー(Stiller)』(1954)が爆発的好評を博してからは文学に専念。以後『ホモ=ファーベル』(1957)・『わが名はガンテンバイン』(1964)・最近作『青鬚』(1982)など多くの作品がある。これらに共通した主題は人間の分裂,自己同一性の喪失,そして現代に生きることの可能性の模索である。それは同時に小説の筋立てや時間・空間の因果関係を解体して,行き詰ったロマン形式の再構築をはかる試みの連続でもある。劇作家としてはブレヒトの影響を強く受け,『シナの長城』(1947)・『ドン=ジュアン』(1953)などを発表していたが,ナチス時代のユダヤ人迫害を題材に社会の抜き難い偏見と日常性に埋没したその恐しさを描いた『アンドラ』(1961)によって世界的名声を得た。しかしその後『自伝』(1967)や『三連聖画』(1978)では社会的色彩は薄れ,個人の問題にむかっている。