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●フランス領ポリネシア フランスりょうポリネシア

ヨーロッパ フランス共和国 AD 

 南緯7〜29度,西経131〜156度に位置し,400万平方kmの海域にマルケサス・ツアモツガンビエール・ソサエティ・オーストラルツブアイ)の諸島が散らばる。島の数は130で総面積4,000平方km。このうちツアモツ諸島はほかが火山島であるのに対して成因的に異なり,ほとんどが環礁である。気候は諸島により少しずつ差異があるが,主島のタヒチ島パペエテ市における年平均気温は27度で乾期の7〜8月には21度,雨期の1〜2月には32度位になることがある。同市の年平均雨量は1,750mmだが,山間では4,000mmに達する。島々は貿易風帯に属するので,東南風が卓越し,したがって島の西北部は東南部よりも乾燥している例が多い。植生としてはココ椰子がいたるところに自生または栽培されているほか,環礁以外ではパンの木・バナナ・タロイモ・ヤムイモなどの主食用植物,マンゴー・パパイヤ・ライムなどの果物,ハイビスカス・ブーゲンビリア・プルメリアなどの花が豊かに育つ。

【住民】1981年の調査では人口15万人でその3分の2がタヒチ島に住む。人種構成は約70%がポリネシア人,20%がヨーロッパ系,10%が中国系となっている。宗教の比率はプロテスタント50%強,カトリック35%,残りをモルモン教など数派が占める。原住民であるポリネシア人のルーツについては〈東南アジアから出発した人々が途中でポリネシア的文化を形成しながらトンガ・サモアに移住し,一部はさらにマルケサス諸島に到った。その後ソサエティ諸島にも同様な移住が行なわれた〉とするのが一般的であるが,その時期は,たとえばマルケサス到達についても前150年〜400年と学者によってかなりの差がある。いずれにせよ彼らがコーカソイド因子を優位にもちつつも,ネグロイド・モンゴロイド因子を併有していることは定説となっている。現在,公用語はフランス語とタヒチ語。その他にマルケサス語ツアモツ語も方言として日常会話では用いられている。

【歴史】フランス人として初めてタヒチを訪れたのはルイ=アントワン=ド=ブーゲンビルで,1768年4月のことであった。前年にはイギリスのサミュエル=ウォリスが来航していたのでヨーロッパ人としては2番目になる。1797年ロンドン=ミッショナリー=ソサエティの宣教師たちが来航,1836年にはフランスからカトリックの宣教師もやって来て,両派は対立した。1836年マルケサスに立ち寄ったフランスのデュプティ=トアール提督は政府に諸島の領有を進言し,1840年実現,1842年にはタヒチの女王ポーマレ4世に風上群島の保護領化を迫り認めさせた。この保護領は1880年“フランス領オセアニア”の名称で植民地となる。風下群島については1847年イギリスとのあいだに不可侵条約が成立していたが,1889年廃棄され,1897年併合,1900年にはオーストラル諸島が加えられた。1957年の住民投票で植民地はフランスの海外領土となり名称は「フランス領ポリネシア」と変わった。

【政治】フランス海外領土省の管轄下にあり,住民はフランス国籍をもつ。領域議会があり定員は30人。地理的区分とは若干異なった政治区が設けられ,以下のように選出議員数が定められている。タヒチ・モオレアなど風上群島16,ボラボラ・ライアテアなど風下群島6,マルケサス2,ツアモツガンビエール4,オーストラル2。改選は5年ごと。行政府としては1984年9月,大統領と6〜10名の大臣から成る自治政府が置かれたが,本国にかかわる問題については高等弁務官が処理する。領域からフランス国会へは,国民議会二人,元老院一人の議員が選出される。

【経済】通貨はパシフィック=フラン(CFP)で,1985年8月現在 1CFP が1円50銭に相当する。領域の貿易は輸入が輸出の20倍ほどになっているが,おもな輸出品はココナッツオイル・真珠・バニラ・果物であり,これに対しほとんどの工業製品・穀類・石油・日用品を輸入に頼らざるをえない現状である。しかし広大な海域からの海洋資源の多くは,現在開発途上にあり,今後若干なりとも改善される余地は残されている。