50音順    検 索

●フランス海外領 フランスかいがいりょう

ヨーロッパ フランス共和国 AD 

 フランス共和国を構成する行政単位で,フランス海外県と並ぶ地方自治体である。フランス海外県 Departement Outre-Mer(DOM)に対して,Territoire Outre-Mer(TOM)といわれる。現在南極圏・サン=ピェール=ミケロンなど無人もしくは小さい海外領をのぞけば,南太平洋のニューカレドニア・仏領ポリネシアウオリス=エ=フチュナTOM である。TOM の住民はフランス国籍をもち,フランス大統領選挙・国民議会や上院の選挙はもちろん,EC のヨーロッパ議会のフランス人議員の選挙にも投票権をもっている。海外領の立法機関としては領域議会があり,海外領の首長はフランス政府の任命する高等弁務官だが,高等弁務官が議長である政府評議会(内閣に相当)の副議長には,領域議会選挙で多数党となった政党の指導者が選ばれる。かつてインド洋にはコモロ諸島,アフリカにはアファル=イッサという海外領があったが,前者は1975年,後者は1977年に独立した。南太平洋のフランス海外領もそれらにならって独立できるか,という現在国際的な関心を集めている。問題はニューカレドニアには多くのフランス人が居住し,仏領ポリネシアはフランスの核爆発実験施設をもつという,コモロ諸島などとは違った要因があるために,フランス政府としても独立要求に簡単に応じるわけにいかない点にある。数年前までフランスは南太平洋の海外領は海外県にする方針だとしていたことがある。同化政策の完了している海外県には,自治を強める要求はあるけれども,今日でも政治的独立を要求する運動は弱い。ミッテラン社会党政権下のフランスとしても,ニューカレドニアや仏領ポリネシアをどうするか,明確な政策を決定しかねているとみられる。