●ブラフマン
AD
サンスクリット語。「梵」と漢訳され、アートマン(我)とともにウパニシャッド哲学の根本概念。古くは神聖にして魔力を備えていたとされるバラモン教の聖典「ヴェーダ」では、マントラと同様、神々に対する「讃歌」「真言」「呪詞」を意味した。カースト制度が強固となり、バラモンを中心とする複雑な祭式の組織が確立したブラーフマナ時代には、祭祀が神をも全宇宙をも支配するとの考えから、祭祀に欠くべからざる祈りの力、すなわちブラフマンは神秘力、ついで諸神万物を支配する力とみられるようになった。やがてウパニシャッド哲学においては宇宙の永久不変の根本原理あるいは絶対者の名称にまで高められた。並行して、呼吸の意味から出た人格原理であるアートマンの概念が、同じく宇宙創造の原理と絶対視されるにいたり、ここにブラフマンとアートマンの同一観「梵我一如」が説かれ、ウパニシャッド哲学の中心思想となった。