●腐敗選挙区 ふはいせんきょく
ヨーロッパ 英国 AD
産業革命後のイギリスにおいて,有権者数の激減にもかかわらず,昔ながらに下院議員選出の特権を保持し,貴族ら有力者の意のままになっていた選挙区。ピット(大)がこうした選挙区をさして〈国家体制の腐敗した部分〉といったことに由来。産業革命は各地に近代的工業都市を発達させ,人口分布に大きな変化をもたらした。また,そのために選挙区の有権者数と選出議員数とのあいだに大きな不均衡が生じた。たとえば,産業革命とともに急速に人口が増加していたマンチェスター・バーミンガム・シェフィールドなどの新興都市はまったく議席をもたなかった。他方,はるか昔に市場や地方交易で栄えたウィルトシャーのオールド=セアラム・ノーフォーク州のカッスル=ライジングなどは,今ではさびれて農耕地になってしまっていたにもかかわらず,議員選出の特権を保持していた。このような選挙区が腐敗選挙区と呼ばれ,19世紀初めに約200存在したが,1832年の選挙法改正で大部分が廃止された。