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●船宿 ふなやど

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 港において,寄港した船に諸々の便宜をはかる施設を言う。宿泊の世話・物資の売買・食料の供給・船の修理などを主な業務とした。中世には,問丸(といまる)がこれらの仕事を司ったが,その機能が専門・分化したのは近世である。大坂・新潟・敦賀・下田・松前・赤間関など,船の出入りの多い港ではとくに顕著な発達が見られた。機能的には,商い船と漁船とに分けられる。また近世末期には,レジャー的な釣船宿も広く分布するようになった。船宿は,前述の業務のほか船に関わる全般について面倒を見たが,切手改めや死亡人届さらに訴訟が起こった際には,船宿の主人が代理人を務めることもあった。水主が就業する際にはその身元保証人ともなっている。これは農村の親方取りの慣行と類似する,一種の擬制的親子関係と言えるものである。なお川船の発着場において,船待ち客を接待した茶店も船宿と呼ぶ。淀川の伏見の船宿はその代表例として名高いものである。