50音順    検 索

●船下し ふなおろし

アジア 日本 AD 

 新造船の進水式を言う。伝統的な和船では,実際の進水に先だち船大工が船霊をまつり込む。そして神酒や供物を供えて拝礼の式があったあと船が水面に下ろされる。このとき,海側と陸側とで数回にわたり曳き合ったり,水に浮かんでから船を故意にひっくりかえしてしまうことを例としている所が広く見られた。これは山の神のダイオロシとか山の神オロシなどと呼ばれ,船材についている山の神を下ろすのだと言われる。港内を三回まわり,餅や蜜柑・菓子などを撒くというのが通例である。また,鰹釣地帯の漁村では船上から釣の真似をする所もあった。最近の新造船はマストに大漁旗(フライキ)をたくさん飾っていることが多い。漁業祈願の対象となっている社寺に船で参る地域もある。船下ろしは,新造船が今後無事に勤めを果たすように,船材の樹霊の鎮魂と船霊の祭祀を行うことを主眼とした儀式で,いわば家屋の建築における棟上・建前に相当する。なお,真偽は別として,江戸時代の御召関船の船大工が秘蔵してきた船下ろし祭文に中国北宋の「宣和四年(1122)」の年号が記されているのは意味ありげである。