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●蒲団 ふとん

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 田山花袋(1871〜1930・明治4〜昭和5)の代表作。36歳の1907年(明治40)9月,「新小説」に発表された花袋の最初の自然主義作品。『蒲団』は,主人公の小説家(竹中時雄)が女弟子(横山芳子)を秘かに愛するが,芳子に恋人ができるとそれを嫉妬する。やがて芳子は国もとに連れもどされる。時雄は芳子の使っていた蒲団を引き出し顔を埋めて泣く。

 この小説は作者の体験と内面心理を粉飾を加えず赤裸々に暴露したものとして評価された。こうした作品はそれまではなく,世評だけでなく文壇においても注目された。以後の自然主義文学の手本的存在となる。この作品の告白性はその前年に出た島崎藤村の『破戒』と対照して,その性格が論じられることが多い。

〔参考文献〕小林一郎『田山花袋研究』全9巻,1976〜1984,桜楓杜

橋本佳「『蒲団』に関するメモ」人文学報(都立大)No19,1964