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●不可触賤民 ふかしょくせんみん

アジア インド AD 

 out-caste, untouchable, pariar, harijan などと呼ばれるが,現憲法では scheduled caste(指定カースト)と呼称している。彼らはカースト制の枠から外された最下層の民で,その起源は前600〜前300年ごろまでさかのぼることができ,その数は1億数千万,全人口の約2割を占めると言われる。彼らの社会的・経済的地位は極めて低く,現在も差別と貧困の生活を強いられている。この不可触賤民の解放のために闘った人物にアンペードカル(1893〜1957)とガンディー(1869〜1948)がいる。不可触賤民の子として生まれたアンペードカルは不可触賤民制を容認するカースト制とヒンドゥー教の打倒をめざし,集団で仏教に改宗することを勧めた。一方,ガンディーは不可触賤民の解放はヒンドゥー教の世界でも行い得ると信じ,カースト・ヒンドゥー側の懺悔・改心を求めて断食や全国行脚を行った。このように解放のための方法が対照的な二人ではあったが,この解放運動は第二次世界大戦後インドがイギリスの支配から脱して独立国家の道を歩き始めたとき,憲法に彼らの解放をうたい,不可触賤民の廃止や彼らの利益の促進などを含む諸規程を盛りこませることに成功した。さらに1955年には不可触賤民違反法を定めて社会的諸権利において彼らを差別するものは罰せられることになった。このように解放に向けて一定の前進は見られるが,現実にはこの差別と貧困の社会構造を改めるには至らず,現在もその苦しい状況は変わっていない。