●フォン=ド=ゴーム洞窟
AD
フランスの洞窟遺跡。旧石器時代後期の壁画で知られる。ドルドーニュ県エージー村付近の谷にのぞんだ丘の斜面にある。ここに,洪積世に生息していた動物たちの壁画が多数残されていることが,1901年,ペーロニーによって発見された。ペーロニーと,カピタン=ブルイユが詳しく調査した結果,洞窟は全長124mで,中ほどより奥に直線状の主廊があり,その右側に二つの側廊,左奥に小室があることがわかった。壁画はおもに主廊の左壁にあり,側廊,小室,最奥壁に散在している。壁画の数は全部で約200点。赤・褐色・黒などで彩色された動物たちは,現在では絶滅したマンモス,バイソン,シカ,ホラグマ,ウマなどで,動物学上の貴重な資料となっている。また,濃淡によって陰影がつけられ,線刻で輪郭を示すという洗練された技法を用いて,動物たちの生態を生き生きと描き出しており,美術品としても1級である。