●付加価値通信網 ふかかちつうしんもう V A N
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既存の通信回線を利用し,コンピュータによって付加価値をもたせた通信サービスを行うネットワーク。【V A N の機能】1970年代にアメリカで始められた V A N によるサービスは,基本的には次の三つの機能を有するものとされる。第1は,“データ通信”といわれるもので,交換されるデータを一度,コンピュータに蓄積し,それらをパケットとしていくつかの単位に区分し,単位ごとに伝送するという機能などがある。この方式は,伝送にさいして,特定の回線をつねに保持しておくという必要がないので通信の効率をあげることができ,パケット変換と呼ばれ,初期の V A N の中心的サービス形態であった。第2は,“通信処理”といわれる機能で,通信の過程においてコンピュータを利用し,より多目的な付加価値を添えるものである。たとえば,一つの情報を同時に複数の相手に伝送する同報通信,情報を相手に直接伝送する代わりに,いったん,V A N 内部のコンピュータ(メールボックス)に蓄積し,受信者の必要に応じて情報を取り出せるという蓄積変換,V A N 内部のコンピュータ間で通信を行う際に,そのスピードを調整するスピード交換,伝送される信号の形態を変換させるメディア交換などがある。また,コンピュータはメーカーごとに通信を制御する手順が異なるのが一般的であるが,V A N はそうした異なる機種間での通信を可能にさせるプロトコル変換(通信規約)と呼ばれる重要なサービスを提供するが,これも,通信処理機能の一つである。第3は,“情報処理”機能であり,先の二つの機能とは違い,伝送される情報の内容の意味的変換をコンピュータによって行うものである。給与計算や在庫管理を行う際の計算処理や,情報検索などがこの機能である。
【V A N の歴史】わが国においては,従来,電気通信事業は,電電公社の独占とされ,専用回線は別として,一般の電話回線をデータ通信のために利用することは禁じられていたが,1971年(昭和46)に,「公衆電気通信法」が改正され,コンピュータを電電公社の電話回線に接続し,オンラインによって情報処理を行うことが可能となった。いわゆる“第1次通信回線自由化”である。この自由化により,銀行の預金業務や,一般企業での製造・販売・在庫管理や,救急医療などの面でデータ通信が発展し,また,そのようなデータ通信サービスを民間企業が提供することも可能となった。しかし,一企業内での通信回線を利用してのオンライン化は自由化されたが,複数企業間での回線利用によるオンライン化や,コンピュータとコンピュータとの接続や,メッセージ交換(回線の他人使用のさいに,コンビュータを通じて,端末間で交信を行うこと)などは,依然,禁止されたままであるという点で,高度情報化社会には不十分な対応でしかなかった。1981年にはより一層の自由化(“第2次通信回線自由化”)が行われ,回線利用にさいして,共同使用や他人使用の面で大きく解放された。これは,基本的には,情報処理を目的とする限りは,回線利用は自由とするというもので,企業間での通信,コンピュータ相互の通信が可能とされた。さらに,他人の通信の媒介を行う目的での民間企業の V A N サービス提供も可能となった。ただし,本格的な V A N 自由化にはいたらず,業務上,密接な関係のある中小企業間での通信サービス,いわゆる“中小企業 V A N ”のみが届出制のもとで,認められた。
【V A N の現状】1982年秋から中小企業V A N は始動し,その後,中小企業を中心としていれば大企業が加わっていてもよいという制限緩和を契機として,多数がV A N サービスの提供に乗り出し,1984年4月現在で,31社,38システムの V A N が届け出られている。たとえば,荷物を荷主から送り先へ届ける運輸業において,荷物の追跡管理,集荷・配達・輸送に関するデータの集信・配信,データの同報・蓄積などによるメッセージ交換,管理資料・統計資料の出力などの業務を V A N で行い,運輸過程の状況把握,通信費用の削減,トラブル防止などに大きな効果をもたらしている。しかし,第2次自由化も条件つきでの回線解放であり,本格的な,不特定多数間の通信サービスを認めるものではない。1985年には,より広範囲にわたる自由化が予定されており,コンピュータの技術の進歩や社会の要請の増大とともに V A N の普及も,より進んでゆくであろう。また,V A N や他のニュー=メディア(CATV・キャプテン・テレテキスト)などによる高度情報化は社会,経済,日常の生活にも大きな影響を与えるであろう。