●フェンシング
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西洋の剣技。白いユニフォームを着てマスクをかぶり,剣をもった2人の競技者が,互いに相手を突き,切りを入れることによって得点を競うスポーツ。【歴史】鉄剣は紀元前2000年ごろ,ヒッタイト族の発明になり,以来,戦闘の常備品として近隣に広まったから,戦闘以外に剣技の行われる機会も多かったであろう。古代ギリシア・ローマでは軍隊教育の一環として剣技の訓練が組織的に行われており,現在のスポーツとは異なるものの,かの哲人ソクラテスでさえ,武技をおおらかに楽しんだと伝えられている。西欧中世の騎士が使用した鉄剣は驚くほど大きな直刀で重量もあり,馬上から一振りするだけで相当の破壊力を発揮したものと考えられているが,戦闘技術の合理化に伴う鉄剣の軽量化がすすんでから,武道あるいは剣術というスポーツ的な要素が見られるようになる。中世の叙事詩には王城で剣術の技を競う場面が描かれているが,このように,中世騎士社会の教養として,あるいは騎士道の一つである決闘のための武技として磨かれてゆくうちに,スポーツとしての剣技が成長したものと考えられよう。17〜18世紀にかけて,剣先に球をつけたり,金網のマスクが発明されるなど危険防止の工夫をへて,スポーツとしての「フェンシング」が誕生した。剣の型により,フルーレ,エペ,サーブルの3大流派が生まれたが,これは現在でもフェンシング競技の3種目として残っている。また,たとえばフルーレのフランス流は防御に重点を置く繊細華麗な技であり,同じくイタリア流は攻撃に重点を置く大胆な技であるなど,流派には国柄と伝統が忍ばれるのも,騎士道から発生したこのスポーツの特長といえよう。
日本へは1935年(昭和10)に導入され大学対抗戦などが行われたが,本格的に普及したのは戦後になってからである。東京オリンピック(1964)では男子フルーレ団体4位入賞を果たした。
【競技】競技には使用する剣は,剣先にボタンの付いた電気剣であり特殊ユニフォームを着用する。得点となる有効面に技が入ると色電気が点滅し,無効面なら白電気が点滅するしかけである。競技はピストと呼ばれる細長い敷物状の台の上で行われる。幅2メートル,長さ14メートルで,構えの線,警告線,境界線がそれぞれ引かれている。公式試合の電気判定の際にはピストの上にメタル=ピスト(電導性の金属網)をしく。
試合は,[1]2人の選手がピストに立つ,[2]プレジダン(主審)が剣と服装を検査,[3]主審の号令「アン=ガルド(構え)」でマスクを着用し構えの線に前足爪先をつけて構える,[4]主審の「エト=ブ=プレ(用意はよいか)」の声に「ウイ(よし)」というか「ノン(まだ)」の声がなければ,主審の号令「アレ(始め)」を合図に戦闘が開始される。電気判定器に点灯があると,主審は「アルト(止め)」を命じて判定を下す。一定時間(6分間)に有効突き(5本)を先取するか,本数を多く取った方が勝ち(フルーレの女子は5分間で4本)。