●フーヴァー=モラトリアム
北アメリカ アメリカ合衆国 AD
1931年,世界恐慌の深刻化に伴い,アメリカ合衆国大統領フーヴァーによって提案された債務の支払猶予宣言。第一次世界大戦後の重要問題として戦債問題とドイツの賠償問題があり,ヨーロッパ諸国はアメリカの戦債支払いをドイツからの賠償に依存していた。ドイツ経済が破滅に瀕すると,アメリカは1924年のドーズ案,1929年のヤング案でドイツに資金援助を行い,ドイツに賠償支払いを行わせようとした。しかしアメリカの大恐慌の余波を受けてドイツが1931〜32年の年割当賠償を支払えなくなると,ヨーロッパ諸国の経済も危うくなるので,各国と相談の上,賠償および戦債の支払いを1年間猶予することを決め,同年7月から実行された。しかしときすでに遅く,ヨーロッパ諸国への恐慌波及を防ぐことができず,世界恐慌となった。この宣言は,アメリカが賠償問題と戦債問題が密接な関係をもっていることを認めた最初の意志表示でもあった。