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●貧窮問答歌 ひんきゅうもんどうか

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 山上憶良の作。『万葉集』の最も著名な長歌(892)で,短歌(反歌)が一首(893)付く。巻5所収。末尾に「山上憶良頓首謹上」とあり,官位が記されていないことと,配列の順序からみて,筑前守を退任後,帰京間もない732年(天平4)の冬に完成したらしい。謹上の相手については,大伴旅人藤原房前,多治比県守,多治比広成,麻田陽春など諸説ある。前半が問,後半が答,という戯曲体の構成をとる。その発想や修辞をめぐって,「涅槃経」をはじめとする諸種の仏典や,陶淵明など中国の詩賦の影響が指摘されているが,この作品が,何よりも異彩を放つのは,“貧窮”という社会的な問題を題材とし,律令制下における民衆生活の断面を,きわめて鮮烈に描写している点にある。貧窮の実情を述べたあとの反歌〈世間(よのなか)を厭(う)しと恥(やさ)しと思へども飛びたちかねつ鳥にしあらねば〉が印象深い。