●平仮名 ひらがな
AD
平仮名は漢字の草書体から発生したもの。草書体それ自体は,中国の漢字のくずしのなかにあるが,それから「ひらがな」と呼ぶものを創り出したのは,日本人の創意であり,日本独特のもので,漢字文化圏でほかにみることはない。平仮名が発生するために,万葉仮名の果たした役割の大きいことも見逃せない。たとえば「安米能三多」(天下)の「安」の字をくずしてゆくと,「あ」の字になる。これが逆に万葉仮名がなく,安の字をくずしても1音の「ア」という発音が約束としてなかったら,安のくずし字を「あ」と読む共通理解は生じなかったであろうといわれる。平仮名の発生は早く,平安時代の初期である。平仮名の発生は表現を容易にし,やがて平安朝の女流文学として開花することになり,文化史的にみれば,文盲率の歯止めの役割を担った。〔参考文献〕佐藤圓『ひらがな物語』1972,アロー出版社
小松茂美『かな』1968,岩波書店