●氷山 ひょうざん
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極地の氷河や氷床から海に流れ出た大きな氷塊をいう。これに対して,海の水が凍ってできた氷塊は海氷・浮氷などと呼ばれる。海氷にはわずかの塩分が含まれるが,氷山の氷は純氷である。氷の比重は約0.9であるから,海に浮んでいる氷山の体積の約9割は水中に没している。「氷山の一角」ということばは,このことに由来している。名前どおりのとがった山の形をしている氷山は,V 字状の断面をもつ氷河から流出した氷塊が転倒したものであるから,海面下では表面より横に張り出していることが多い。「タイタニック号の悲劇」はグリーンランドから大西洋へ漂流してきたこの型の氷山によるものといわれている。北極海に面したカナダのエルスメーヤ島などの幅の広い氷河,南極の大きな氷床や棚氷から流出する氷山は表面が比較的平坦でテーブル状氷山と呼ばれる。テーブル状氷山には非常に大きいものがあり,北極海に浮んでいる長さ・幅とも数 km 程度に及ぶものは氷島と呼ばれている。氷島は海流に乗って北極海のなかを周回しているので,この上に米国やソヴィエトの科学者が基地をつくって長年にわたり北極海の気象や海洋の観測研究を行っている。とくに T-3・Arlis-II では米国の科学者に交わって,1950年代から1960年代にかけて日本人数名が海洋・雪氷の観測を行っている。南極海で発見された最大の氷島は1980年ごろウェッデル海を漂流していたもので神奈川県くらいの面積があった。これほど大きくなくても氷山一つの重量は数億ないし数百億tになる。そこで,こういう氷山を曳航して中東の砂漠地帯への水供給に役立てようという構想が生まれ,その具体化のための研究が1970年代後半から盛んに行われ,研究成果を検討する国際会議まで開かれた。しかしまだ曳航などの技術的な難点,波浪による氷山の崩壊など未知の現象も多く,実現にはいたっていない。〔参考文献〕楠宏「極地を征く日本人科学者たち,北極圏」極地1-2,1966,日本極地研究振興会
樋口敬二「氷山利用計画」極地15-1,1979
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