●漂海民 ひょうかいみん
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土地・建物を陸上に直接所有しないで,小舟を住居にして一家族が生活し,海産物を中心とする各種のものの採取を行い,それを販売したり,物を交換したりして生計をたてている人々をさす。そしてその生活は一定の海域をたえず回航移動しているため,海を漂泊する民という。そのなかには中国の蜑民をはじめ,アジア各地にそれに類似する人々が散在している。彼らは農民を常民とする社会では,異なった暮らしをする人々のため蔑視されている。その暮らしは農民に比べてその年中行事もはるかに少ない。陸上との交渉を好まず,その暮らしも閉鎖的である。ただ水くみ・薪とり・海産物の乾燥・船の修理製造・物々交換のときにのみ,陸上と交渉をもっている。漂海民が生まれたのは舟が多少大型化し,一家族が住居するに足るだけの大きさになってからである。彼らの暮らしは土地をもたない人々であり,そのため低い生産手段に甘んじた貧しい人々の群でもある。海士(あま)が舟を家とする。はじめは定着性が低かったが,しだいに出張先に部落をつくり,船の住居をやめて海士部落をつくっている。したがって漂海民は,そうしたことのできぬ人々の暮らしをさす。またところによると,船住居の漁業者を家船(えぶね)と呼ぶ地域さえある。