●紐 ひも
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ものを束ねる・縛る・結ぶ・継ぐなどするのに用い,麻・木綿・絹などの繊維や,紙・動物の皮革でつくられた細長い製品。縄文土器の施文にも用いられたように古くから生活上重要な役割を果たし,萱・蔓・葛などから最近の化学繊維まで素材に変化はみられたものの,その重要性は現代でも変わらない。用途は一般的には,[1]作業用,[2]計量用(縄算など),[3]装飾用に大別されうるが,現在[2]の意義は薄れた。さまざまな意匠を凝らした装飾用の結びは,もとは作業用結びから発展したものと考えられる。ひもは古くは「ひものを(緒)」というように,結ぶこと,ことにその結び目に大切な意味があった。〈淡路の野島の岬の浜風に妹が結びし紐ふきかへす〉(柿本人麻呂『万葉集』5)の歌にもみるように,これは女性の霊魂を結びこめた神秘な結び目であり,男性が勝手に解くことはできなかった。すなわち,結びこめた女性の霊力が男性に災厄のふりかかることを防ぎ,無事に帰還することが期待されたわけである。神霊の宿る神座をいう神籬(ひもろぎ)の“ひも”もこれと同じである。また,現在ひろく11月15日ごろに行われる七・五・三の祝いと同趣旨の儀礼を“ひもおとし”(それまでの紐つきの着物をやめて帯締めの着物に変えたという3歳児の祝い)と呼ぶ地方があるが,この“ひも”も離脱しやすい幼児の霊魂を身体のうちにこめる点に意味があったといえよう。